前回サッカーの「戦術」について書いたとき、サッカーの魅力のひとつは将棋やチェスのようなところ、と書いた。それはフィールドにおいて適切な配置をすることで、ゲームを優位に進めることができるから。
今回伝えたいさらなる魅力は、その駒の豊富さ。すなわち、選手の個性だ。
アジアカップのオマーン戦を取り上げながら、サッカーにおける個性について考えていこう。
【サッカー観戦初心者向け】トルクメニスタン戦を題材に、「戦術」に触れてみよう。【アジアカップ】
第2戦vsオマーン
アジアカップ、オマーン戦。両チームのスタメンはこのようなかたち。
この試合の注目は、前節ワントップで先発し2得点をあげた大迫勇也が、ケガの影響で欠場したこと。
オマーン戦では、そのポジションに北川航也が抜擢された。
大迫と北川
大迫と北川は個性が異なる選手であるから、個人的には、2人に同じ役割を求めることはできないと思っている。
2人の特徴を整理してみよう。
大迫の特徴
こちらはオマーン戦に大迫がいたら、というイメージ図。黄色い矢印は味方からボールを引き出す大迫の動きを、白い楕円はその特徴を発揮するエリアを示している。
大迫の特徴は、味方から出てくるボールを収め、さらに展開するところだ。身体とボールの扱いが非常に巧く、ボールをキープする能力が長けている。
北川の特徴
では、北川の特徴はというと。このイメージ図も同じように、黄色い矢印は北川の動き、白い楕円は特徴を発揮するエリアを示した。
この試合の北川は、相手のゴール前へ、一気に抜け出すかたちを試みていたように思う。
それを踏まえて、オマーン戦。
それゆえに、2人に同じ役割を求めることは酷なのだ。
北川が起用されたオマーン戦、試合を終えてからは彼に対して「物足りなさ」を指摘する記事をよく目にした。
しかし僕個人的には、そんなに悪くなかったのではないかと思っている。
北川の効果
こちらは先ほどと同じ、北川の特長を示したイメージ図。
味方からのロングボールで一気にゴール前に抜け出す、ということを狙っている北川の存在によって相手はどうなるか。
相手の2番と13番に、水色の矢印で示したような”警戒心”が生まれる。北川へのパスを許したら、それがゴールに直結するからだ。
すると、どうなるか。
今度は、上記の白い楕円で示したようなところに、スペースが生まれるのだ(俗にいう「バイタルエリア」)。
北川が相手DFを引きつける(引っ張る)ことで、日本の強みである南野や堂安がプレーするスペースを生み出した。
チームスポーツ、だけれども。
たしかに大迫と比べたら、北川がボールに触れる機会は少なかっただろう。しかし、相手DFにプレッシャーをかける北川の存在が、日本に不可欠だったことは間違いない。
サッカーはチームスポーツであり、チーム(戦術)ありきのスポーツだ。
とはいえ、チームを構成するのは「個人」であり、最終的にボールを扱いゴールを奪うのも「個人」。
個人にフォーカスすることも大切で、さらに個性のちがいが見えてくると、サッカーがもっと面白くなってくる。
↓サッカー観戦がより面白くなる!オススメの一冊↓
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
次のウズベキスタン戦は、日本時間あす17日22:30キックオフでございます。